アイミタガイ 中條てい

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アイミタガイの作者、あらすじは?どんな意味?

こんにちは!おるさんです!
今日は中條ていさんのアイミタガイについて紹介します。
黒木華さん主演、映画「アイミタガイ」が2024年11月1日(金)から公開予定ですが、原作はどんな話でしょうか。結末がわかるようなネタバレはしていないので、気になればぜひ読んでみてください。

作者 中條てい さん

作者は中條ていさん。1956年、三重県在住です。
2012年に斎藤緑雨文化賞長編小説賞を受賞されています。

あらすじ

原作は5本の短編が1冊の本になっています。それぞれどんなお話でしょうか。

定刻の王

小山澄人には電車を待つならここと決めた場所があります。いつも同じつり革に掴まり、網棚にカバンを置く。そんな習慣を続けていると、ちがう駅を利用する乗客の中に何となく見たことある人もできていきます。澄人はそのうちの一人に「定刻の王」というあだ名をつけました。定年近くに見えるこの男性は、澄人が定時に帰れた日にも見かけることから、毎日行き帰り同じ電車を使っているのでは?ということが由来です。

ある日定時で帰れることになった澄人は今日もいるのかと何となく気になってしまうのですが、目の前に座って爆睡している男性が「定刻の王」だと気が付きます。いつも帰りに見かけるときにはきちんと座って本を読んでいるのに今日に限って爆睡していて、「定刻の王」が降りる駅に近づいてきても起きる気配がありません。これは放っておいても起きるのか?声をかけた方がいい?余計なお世話?と悩む澄人。彼はどうするのでしょうか。

ハートブレイク・ライダー

樋口敦俊は小学6年生。郵便で来る中学受験の結果を今か今かと待ちわびています。合格不合格は封筒の形でわかるそう。そんな敦俊の手元に来た封筒は薄っぺらい定型封筒。合格は大きな封筒で来ると聞いていたけれど勘違いなのかも、そんな薄い期待を胸に開けてみると、結果は不合格でした。塾の模擬試験では余裕で合格点を超えていましたが、本番の試験では1つのミスからその後もそのミスを引きずり、最悪の出来だったことは敦俊もわかっています。

塾の仲間からは合格の連絡が来ますが、敦俊は返事ができません。挙句の果てには「記念受験に」と受けていた明石くんでさえ合格だったと聞かされます。どんどん気分が落ち込んでいきますが、明日塾の先生に不合格の報告をしに行かなくてはいけません。ママは明日の夕方は塾で祝賀会をするから、祝賀会に行きたくないなら午前中には先生の所に行ってきなさいとのこと。ママから早く報告しに行きなさいと念を押され、イライラしながらいつもより早く自転車を漕ぐ敦俊は、交差点でほかの自転車にぶつかってしまいます。

幸福の実

稲垣範子はホームヘルパーとして働いています。家事は得意だし、両親の老後を考えると今のうちに資格を取っておいたほうがいいかも!と思い始めた仕事ですが、主婦で慣れているからかついつい介助以上の掃除や洗濯の助けをしてしまい、たびたび注意を受けています。

ホームヘルパーはお年寄りが自立した生活を営めるように介助することが目的で、ヘルパー先の家庭のルールの中で介助をしなくてはいけないこと、所長の言いたいことはわかるけれどなかなか納得できません。それでもヘルパー仲間の経験や考え方を聞いて、あまり踏み込みすぎてもいけないとわかった範子は次に担当することになった小倉こみちの自宅に向かいます。こみちは品のある90歳のおばあちゃんです。範子は次こそヘルパーとして接することができるのか、それとも散々注意されているヘルパー以上のお節介をしてしまうのでしょうか。

夏の終わり

郷田優作は5か月前にカメラマンをしていた娘の叶海を事故で亡くしました。妻の朋子と二人暮らす家には、叶海が生前借りていた部屋からの郵便物が転送されてきます。ある日、山梨県にあるサンシャインハウスという児童養護施設の子供たちから「かしわもちをありがとう」というメッセージが届きます。

叶海は年明けに亡くなったので、5月のこどもの日に柏餅を贈ることはできません。そもそもカメラマンの叶海と児童養護施設にどんな関係があったのか。優作は児童養護施設宛てに、叶海は亡くなったこと、またなぜ今になってメッセージが届いたのかと手紙を書くことにしました。

蔓草

穐村梓は8月のお盆になると、離婚した父方の祖父母の家に帰ることにしています。梓は小学3年生まで祖父母の家に住んでいましたが、両親の離婚後は母と一緒に家を出ていて、別の女性と一緒になった父に会いたくないためこの時期にしか帰省しません。

祖父は亡くなってしまったため、一人で住む大好きなおばあちゃんの家に着いたとき、父の新しい家族の息子にあたる福井圭吾が訪ねてきます。梓は「あっちの子」を好きになれません。正直に嫌だという気持ちを示し、圭吾も困った顔をしていますが、おばあちゃんは気にせず圭吾を家に招き入れます。おばあちゃんは偶然を装いますが、梓には何か企んでいるようにしか思えません。おばあちゃんは何を思って二人を引き合わせたのでしょうか。

映画情報・キャスト

公開日

2024年11月1日(金)

キャスト

秋村梓   :黒木華

小山澄人  :中村蒼
郷田叶海  :藤間爽子

稲垣範子  :安藤玉恵
中学生の梓 :近藤華
中学生の叶海:白鳥玉季
車屋典明  :吉岡睦雄

羽星勝   :松本利夫(EXILE)
福永    :升毅

郷田朋子  :西田尚美
郷田優作  :田口トモロヲ
綾子    :風吹ジュン

小倉こみち :草笛光子
(敬称略)

アイミタガイってどんな意味?

アイミタガイは「相身互い」のことです。

あいみーたがい 【相身互い】
「相身互い身」の略
同じ境遇にある者どうしが同情し、助け合うこと。また、その間柄。

コトバンク

お互い様みたいな意味といえるでしょうか。
作中ではさまざまな「アイミタガイ」がみられます。

印象に残ったシーン

相手との接し方

ぜひ参考にしたい!思ったのは「幸福の実」にあった共感しづらい人への対処法です。
範子は何回か注意されても、誰かを思ってヘルパー以上のことをやるのってそんなに悪いこと?となかなか納得できません。ヘルパー仲間から仕事への取組み方や気持ちを聞く中で、新顔の若い女性から訪問先での対処法を教えてもらいます。

あたし、ちょっと共感しづらいと思う人に遭遇したら、その人になってみることにしてるんです。そういう人って心に不満があって、それを人にぶつけたりしてるから。 ――中略―― 失礼だけど勝手に想定してみるんですよ

アイミタガイ 幸福の実

誰でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。なんでこの人こんなに機嫌悪いの!とか絶対に合わないこの人!と思ったこと。受け取るこちらとしても悲しくなったりイラっとしたりすることがあって、できれば避けたいけれども、その相手が学校や仕事の関係者だとなかなか難しいですよね。

そんなときに「今日は親とけんかして学校来たのかなーそりゃ誰かにあたりたくなるよなー」とか「お子さんが反抗期で毎日家の中大変なことになってるのかなーそりゃ本人も気が立ってて周りにあたり散らかしたくなるよねー」とか、勝手に相手のことを想像してみることで「これ以上怒らせないように注意しよう」という気持ちで相手と接することができそうです。

ちなみに今までのおるさんは「今日は機嫌悪いじゃーん、どうしたの??」っていう気持ちで乗り切っていました(笑)

婚活課の依田さま

完全に本筋とは外れるのですが、「定刻の王」の澄人の働く会社には依田順子という女性がいます。
この人は婚活のプロともいえる人で、「この人の結婚相手はどんな相手だったら合うか」を考える力が優れているそうです。澄人も依田と出会って数週間で今の彼女を紹介されました。

そんな依田が結婚観・夫婦観について語っている箇所があるので、婚活を考える方は読んでみてほしいです。いい考え方!そしておるさんも依田さんに会いたい!!(笑)

この本のここが好き!

やはり題名にもなっている「アイミタガイ」が、この短編5編とどう関係あるのかというところです。様々な性別、年代の主人公がいますが、それぞれのお話が少しずつ繋がっていくことに気が付いた時は感動しました。

人生においても見えないところの「アイミタガイ」が繋がって今があるんだなと思えます。おるさんの人生の主人公はおるさんなので、この目線でしか世界を見ることができません。ただ今日誰かにしてもらった親切は、その誰かがまた別の誰かにしてもらったことからの行動かもしれないですし、おるさんが今日した親切は、受け取ってくれた誰かがまた別の人に親切をしてくれるのかもしれません。

誰かがお返ししてくれるかも?って思う親切や助け合いはちょっと違う気もしますが、それでもどこかでいい影響となっていればいいなと思えました。今日の親切が明日の誰かのウルトラハッピーに繋がるかもしれないって思うと、イライラして自分のこと考えてるだけじゃ何もいい方になっていかないなあと思いますね!

まとめ

今回は中條ていさんのアイミタガイについて紹介しました。
題名の「アイミタガイ」がどんなふうに繋がって、誰のもとに届くのか。少し誰かに優しくなれるお話だと思います。ぜひ原作を読んで確かめてみてください!

おるさん
おるさん

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