法律事務所にやってきたのは、所長の友人のと名乗る人物。
その友人は一家で失踪したとされていた。
「幼い頃家族に捨てられて児童養護施設で育った。家族がどうなったのか知りたい。本当の私を知るために」
失踪前、一家が住んでいたという町を訪ねると
「この町で失踪なんて起こるわけがない。ここは安心安全な町なのだから」
ミステリー好きにおすすめな1冊!
著者:佐野広美
Kindle Unlimited:対象
Audible:対象
(2024年12月現在)
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誰かがこの町で 著者・あらすじ
著者 佐野広美さん
1961年、神奈川県生まれ。
1999年に第6回松本清張賞を「島村匠」名義で受賞。
2020年、「わたしが消える」で第66回江戸川乱歩賞を受賞されました。
Kindle Unlimited:対象
Audible 聞き放題:対象外
(2024年11月現在)
あらすじ
真崎雄一が助手を勤める法律事務所に二十歳前後の女性が訪れます。
所長の岩田喜久子によると、大学時代の友人の娘とのこと。
ただ、友人は失踪しておりその娘とは赤ん坊の時に会ってから十九年が経過。
彼女が本当に友人の娘かどうかはわかりません。
女性は望月麻希と名乗り、失踪した家族がどうなったのかを尋ねてきました。
本人曰く、一家が失踪した時自分だけ施設に捨てられたため、自分が本当は何者なのかを知りたいと考えているそう。
岩田の依頼により、望月のことを調べ始める真崎。
しかし身辺調査によると本名は松原宏子、教えられた職業も異なっていました。
怪しむ真崎は望月が育った児童養護施設や、望月本人から話を聞き、どうやらなんらかの事情があり児童養護施設に預けられたこと、詳細を知ると望月に危険な目に会う可能性があることを知ります。
昔望月一家が埼玉県北名市与久那町鳩羽地区に住んでいたことをうっかり伝えてしまいます。
話を聞いて一人乗り込んだ望月を追って、真崎は真相を調査することになりました。
一方、どこかの町では小学一年生の男の子が遺体で発見されます。
男の子は耳を切り取られた状態でした。
「安全安心なこの町でこんな犯罪が起こるなんてあってはならない」
町の人たちは、犯人は自分たちの手で捕まえるんだと息巻いています。
登場人物
真崎雄一
五十五歳。バツイチ。
岩田喜久子法律事務所で助手をしている。
松原宏子
望月麻希と名乗る。児童養護施設で育った。
本当の家族が失踪したと知り、本当の自分を知りたいと事務所を訪ねてくる。
岩田喜久子
関内駅にある法律事務所の所長。
望月良子
岩田の大学時代の友人。利雄一家で失踪しており、その後の行方がわかっていない。
近藤利雄
鳩羽地区の近くの民宿「源泉館」を営む。
鳩羽地区の事情に詳しい。
木本貴之
小学一年生。放課後に行方不明となり、遺体で見つかる。
木本千春
主婦。貴之の母。
菅井昭次郎
町の地区長。与久那町の町議も務めていた。
延川善治
町の副地区長。不動産屋。
松尾和夫
町の防犯係のリーダー。土建屋の社長。
誰かがこの町で ドラマ情報・キャスト
放送日
2024年12月8日(日) 22:00~
WOWOWプライムチャンネル
キャスト
真崎雄一 :江口洋介
望月麻希 :蒔田彩珠
岩田喜久子 :鶴田真由
望月良子 :玄理
延川善治 :宮川一朗太
松尾和夫 :尾美としのり
木本俊樹 :戸次重幸
菅井昭次郎 :本田博太郎
近藤利雄 :でんでん
木本千春 :大塚寧々
(敬称略)
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誰かがこの町で 感想
舞台は「安心安全な町」
タイトルにある「この町」が本作の舞台の埼玉県北名市与久那町鳩羽地区という架空の町です。
代表団は「安心安全な町作り」をモットーとして掲げ、この町を運営しています。
この町は安心安全なので犯罪は起こりません。町の人も安心安全な人たちだけです。
万引き?この町では起こりません。
他所で起こったとしても、犯人はこの町の人ではありません。
殺人?
この町で起こったとしても、犯人は外の人間に決まっています。
だってこの町は「安心安全な町」だから。
この考えがまかり通ってしまうんです…怖い町です。
この町が変だと声を挙げたとしても、町にとっての危険人物として標的となります。
何となく嫌な噂が流れたり、外の人がなぜかその家に嫌がらせをしたり…
この辺は読んでいて感じ悪かったです……
閉鎖的な空間には覚えがあります。
学校とか会社とか。
なんか変だな?と思っていても、閉じられたところにいるとその集団から外れるのが怖くてなんとなく従ってしまう。
あなたにもそんな覚えはないでしょうか?
おるさんの場合はコロナが流行った時ですね。
当時いたコミュニティが閉鎖的なところだったので、コロナにかかったら村八分にされそうとめちゃめちゃ気を使った覚えがあります。
とにかく一番になるのは嫌だったなあ…
今はいい意味で吹っ切れたというか、「いや、仕方なくない?」くらいの気持ちになるのかな。
それともまだ気にするのかな。
今となっては他のところで自分の居場所を見つければいいという考えができつつあるのですが、この変どう感じるかな?と思って読んでいました。
ブレーキをかけられるかどうか?集団の恐ろしさ
町の実態がいびつだったと明らかになった後も、住人の中には「そんなはずがない」と声を挙げる人もいます。
そんな人たちを前にして、真崎は真実がわかった上でどうするのかを車のブレーキにたとえて話します。
「運転している車の少し前方に、信号が変わって赤なのに横断歩道を渡り切れなかった老人が歩いている。
―中略―
ルールを破っているのはその老人の方だ。こっちはルールを守っているんだから、撥ね飛ばしても構わない」
―中略―
「単に自分たちのルールを守っただけと思っている。それがそのうち、ルールを守るためなら、なにをやっても構わない、犯罪すらいとわない。そういう理屈にひっくり返る」
―中略―
「誰もがそうなんですよ。ただ、そんな場面に直面したとき、ブレーキをかけることができるかどうか」
誰かがこの町で 第四章 それは何を引き起こしたか
おるさんにはこのシーンが非常に強く印象に残っています。
というのも、おるさん自身がブレーキをかけることができるかがわからなかったから。
おそらく、ルールって大切じゃない?という考えが強いのです。
真崎の言うたとえ話では、運転者側だとさすがに止まります。
ただとてもイライラしてしまうと思います。
「相手はご老人。体力的に横断歩道を渡り切るのきついよね」と考えずに、
「なんで渡り切れるように考えないの?」って思ってしまう気がします。
「このまま突っ込んでいったら撥ねてしまう=自分が悪い立場になってしまう」という気持ちしか持つことができないんじゃないか?
こんな風に感じてすごく怖くなりました。
なんかヒトとして生きている意味なくない?と。(猫ですけど)
理性とか他人を想う気持ちを持つことができるのがヒトの良いところだと思っていたのになあ。
この作品を読んだことで、思考の悪いクセに気づけたのはよかったのかなあと。
思考のクセって少しずつ変えることできるのかな。
誰しもがこの「安心安全な町」の住民になる可能性があるのかなと思います。
そのときあなたはどうするのか?何を思うのか?
そんなこと考えながら読んでみるのをおすすめします。
誰かがこの町での次に読みたい!おすすめ書籍
本作にちなんで、過去の秘密をめぐるミステリー作品を紹介します!
落日 湊かなえ
著者:湊かなえ
Kindle Unlimited:対象
Audible 聞き放題:対象
(2024年11月現在)
新人脚本家のところにある事件を映画にしたいと映画監督が訪れます。
選ばれた理由は事件が起こった町の出身だったから。
裁判も終わった十五年前の事件をなぜ今さら映画化したいと考えたのか?
事件を知る過程で、二人は過去と向き合うことに。
それでは次の更新でお会いしましょう!最後までご閲覧いただきありがとうございました~!
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