本心 平野啓一郎

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映画

こんにちは!おるさんです!
今日は平野啓一郎さんの本心について紹介します。
池松壮亮さん主演、映画「本心」が2024年11月8日(金)から公開予定ですが、原作はどんな話でしょうか。内容がわかるようなネタバレはしていないので、気になればぜひ読んでみてください。

本心の作者は?どんな話?

作者 平野啓一郎さん

作者は平野啓一郎さん。1975年、愛知県の生まれです。
1999年に「日蝕」で芥川龍之介賞受賞されています。「マチネの終わりに」や「ある男」の作者でもあります。

あらすじ

舞台は2040年代の日本。母一人、子一人の母子家庭で、事故で母を亡くした石川朔也は不安や孤独を慰めようと、母のVF(ヴァーチャル・フィギュア)を作ることを決意します。また生前、母は「自由死」を望んでいました。母はなぜ「自由死」を希望していたのか、母の「本心」を探ろうと母のVFと対話を重ねていきます。合わせて母の友人だった三好や、好きな作家だった藤原との出会いからも、朔也の知らない母のことや母が秘密にしておきたかったことを聞くことになります。
また、母以外とのやりとりで、朔也の心境もだんだんと変化が起こっていきます。朔也は最終的にどんな「本心」を読者に教えてくれるでしょうか。

映画情報・キャスト

公開日

2024年11月8日(金)

キャスト

石川朔也 :池松壮亮

三好彩花 :三吉彩花
岸谷   :水上恒司
イフィー :仲野太賀

若松   :田中泯
中尾   :綾野剛

野崎将人 :妻夫木聡

石川秋子 :田中裕子
(敬称略)

印象に残ったシーン

VF(ヴァーチャル・フィギュア)

この作品でまず出てくるのがVF(ヴァーチャル・フィギュア)。VFは仮想空間の中の人間です。実際にいる人物だけでなく、架空の人物を作ることもできるとのこと。また、実際にいる人物で作ったVFとその本人に仮想空間で会っても、どちらが本当の人間かわからないほどそっくりに作れるそうです。すごい技術ですね…

VFに話しかけても自然に会話はできますが「心」はなく、ただ問いかけに対して最適な返答をするだけです。VFに学習させることでより自然な返答ができるようになり、さらに実際にいる人物に近づいていくそう。朔也の母の場合でお値段は見積価格でなんと三百万円!!(個人的にはいいお値段だなと思いますが)朔也は母そっくりのVFを作ることにします。

あなたはここまでのVFの説明を聞いて、実際に作ってみたいと思いましたか?おるさんは今大切な人を亡くしたわけではないからか、作りたいとは思いませんでした。ただ正直その時になってみないとわからないなあと。

作らないと思う理由の1つはVFに依存してしまいそうだからです。大切なあの人に、仮想空間であればいつでも会える状況になったとしたら現実世界に戻ってこなさそう…。ただし、作中では仮想空間がもっとメジャーになった世界なので、もしかしたらうまく折り合いがつけられるかもしれません。

もう一つのVFを作らない理由は、理想の相手も作れてしまうことです。作中ではVFの説明の一部にしか出てきませんが、妄想の中の架空の人物をどれだけ自分好みに作成してもいいと思います。なんならお金積んでも全然ありです。
ただ実際の人物をモデルにして自分好みにできてしまうのは怖いと思いました。片思いの相手を作る人や、自分の理想の家族を作る人もいるそうです。その辺の線引きがうまくできる気がしないので、作らないです。

「自由死」

作中は「自由死」が認められた世界です。「自由死」について朔也はこんな風に表現しています。

そもそも僕は、”自由死”などという欺瞞的な言葉が大嫌いだった。それは、寿命による”自然死”に対して、言わば、無条件の安楽死であり、合法的な自死に他ならなかった。

本心 第一章 「母」を作った事情より

大好きな母から大嫌いな言葉を聞いた時の心境はどんなものだったでしょう。この後朔也は考え直すよう母の説得を試みますが、結局母は突然の事故で亡くなってしまいます。

「自由死」は登録医の長期間にわたる診療と認可とされていますが、ほとんど無条件だそう。母は「自由死」の許可をもらっていました。自身の生の終わりを自身で決めること、難しいように思いますが、母はどんなことを考えていたのでしょうか。

「あっちの世界」と「こっちの世界」

母の友人だった三好はお金持ちのいる世界を「あっちの世界」、お金のない・うまくいっていない世界を「こっちの世界」と表現しています。そしていつか「あっちの世界」に行くことを夢見ています。

作中は現在より、より貧富の差がある世界となっているため余計にあこがれを感じるのかもしれません。おるさんはお金の本を読むことが好きなので、きっとこれがピケティさんの言っていたr>g、「お金持ちはよりお金持ちに、労働でしか収入を得られない貧乏人はより貧乏に」の結果かと思いました。

朔也はどちらかというと「こっちの世界」の人ですが、「あっちの世界」に住む人に会うことによる心境の変化も芽生えていきます。

この本のここが好き

2040年代の日本

舞台は2040年代の日本です。現在は2024年、約15年もしたら追いつくことになります。
人が生まれてから高校生になるくらいの時間です。そこそこ長い気もしますが、おるさんは成人済みなのでもっと早く感じそうです。

作中の2040年代の世界は今よりもだいぶ進んでいます。メタバースの世界がもっと身近になっていたり、無人タクシーやロボットに仕事を奪われる人間についても描かれています。朔也の仕事は「リアル・アバター」というもので、誰かがいろいろな事情でその場所に行けなかったり行く時間がなかったりするときに、代わりに行ったりものを届けたりします。食べ物によらないウーバーイーツみたいなものでしょうか。この仕事はロボットができず、特別な資格を持っていない人がやる仕事の中ではちょっとましなものと表現されています。人間の仕事がロボットに取られていくのもそれほど遠くない未来なのかもしれません。あとはVFが働くこともあります。賃金を受け取るのはVFの所有者。そこそこ稼げるVFもいるようで、資産運用の一環としてVFを何個も作る人もいるそうです。株式や債券、不動産といった運用商品の中にVFが加えられる時代もあるのかもしれませんね。

また現代社会の問題とされているものが、作中では当たり前の風景としてあります。たとえば気候。今でも夏はいつまでも暑く、急に冬が来て寒くなって春と秋が短いと思うことも増えているように感じますが、2040年代では都内の最高気温が40度になったり、台風による大きな被害が日常化していたりと温暖化による様々な影響がみられます。「自由死」に関してももとは社会保障にの破綻によるものと読み取れます。衰退した日本ではどこを見渡しても老人しかいません。
現在問題とされていることがたった15年で人々の生活を脅かすことになると怖いですね。個人では小さいことしかできませんが、他人ごとではないし、何かしらの対策は考えなくてはいけないと考えさせられました。

まとめ

今回は平野啓一郎さんの本心について紹介しました。
映画では仮想空間やVFはどのように描かれるのでしょうか。楽しみですね!
個人的にはページ数が多く、VF、自由死とボリューム満点な内容なのでお時間のある時に読まれるのをおすすめします!秋の夜長にぴったり!

おるさん
おるさん

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