歴史物好き、棒術って何?土一揆ってなんだっけ…?歴史物に慣れていなくても読めました。
応仁の乱前、骨川道賢、蓮田兵衛の二人によって天涯孤独だった少年 才蔵は新しい道を歩むきっかけを与えられる。
理屈で考えがちな才蔵が二人に振り回されながら、棒術に磨きをかけ徐々に成長していく。
著者:垣根涼介
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Audible 聞き放題:対象外
(2024年11月現在)
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室町無頼の著者・あらすじ
著者 垣根涼介さん
1966年、長崎県生まれ。
2000年に「午前三時のルースター」でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞しデビューされました。
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あらすじ
時は室町時代、応仁の乱前。
幕府は弱体化し、町は無法地帯として追剝や盗賊、人殺しなどが蔓延っています。
父を亡くし天涯孤独になった少年 才蔵はお金や食べ物のため、独自に身に着けた棒術で生計を立てていました。
ある日、用心棒として雇われていた土倉を襲ってきた張本人、骨皮道賢に気に入られたことで才蔵の人生が大きく変わることとなりました。
道賢は印地(無法者)を束ねるリーダーで、町の治安を守る役についています。
商家や大名の用心棒として暴力沙汰を引き受ける一方、民を苦しめるお偉いさんに対する悪事も行うような人物です。
自身が悪人だからこそ、悪人を束ねるリーダーができるとのこと。
押し入った土倉では、勝ち目はなくとも最後まで戦う才蔵を拾ってきたのはよいですが、道賢の一味としてやっていけないだろうと、蓮田兵衛に預けられます。
兵衛は牢人風の男で、何の仕事をしているようにも見えません。
しかし自宅では誰でも自由に飲み食いができ、様々な町人が押し寄せてきます。
お金をもらうわけでもない様子に才蔵は心配しますが、町人たちは食べ物や芸、面白い話など差し出せるものと引き換えに食事をしていくようでした。
兵衛もまた民を苦しめるお偉いさんを懲らしめることに抵抗はなく、お金を盗んだり殺してしまったりと、善い人とはいえない人物です。
才蔵は道賢と兵衛によって今の世をどう生きるかを教えられ、また厳しい修行により新たな棒術を身につけます。
世の中をひっくり返そうとする二人の無頼者と才蔵の物語。
登場人物
才蔵
天涯孤独の少年。
棒術で生計を立てている。
骨川道賢
印地の親玉。
目附職に任命されている。
蓮田兵衛
牢人風の優男。
鵺のような男とされる。
芳王子
遊女。
法妙坊暁信
才蔵が守る土倉の持ち主。
室町無頼の読み方って?無頼ってどういう意味?
室町無頼は「むろまちぶらい」と読みます。
無頼が聞きなれなかったので検索してみました。
- 正業に就かず、無法な行いをすること。また、そのさまや、そのような人。
- 頼みにするところのないこと。
goo辞書
わかりやすくするとならず者といった意味になるでしょうか。
室町時代のならず者が出てくる作品とわかりますね。
室町無頼は実話って本当?
作中にありましたが、道賢や兵衛は諸記や史料に名前が残っているそう。
特に兵衛は土一揆の首謀者として名が残っているとのことでした。
室町無頼の映画情報・キャスト
公開日
2025年1月17日(金)
キャスト
蓮田兵衛 :大泉洋
才蔵 :長尾謙杜
芳王子 :松本若菜
唐崎の老人 :柄本明
名和好臣 :北村一輝
骨川道賢 :堤真一
映画版は兵衛目線で進むのでしょうか。
原作とは違った目線で楽しめそうですね!
室町無頼の感想
才蔵の成長物語
才蔵は赤松牢人の生まれで、父親からは「お前は侍の子だ」と育てられます。
しかし牢人親子への風当たりはきつく、村では最下層の身分以下として暮らしていました。
十二歳から働き始めた才蔵は父親が亡くなると天涯孤独となり、棒遊びから発展した棒術で生計を立てるようになります。
才蔵は直感型というより理論型でなんでだろう?を考えます。
そしてなぜですか?と素直に聞くことができます。
ただ道賢にも兵衛にも「自分で考えろ」と毎度のように言われてしまいます。
才蔵がえらいと思うのは、これが続くと自分で考えなきゃダメだと自然に思うようになってくるところ。
これが後々厳しい修行にも生きていきます。
二人の無頼者、道賢と兵衛
町を守る役職に就く道賢と、民のために食事の場を提供している兵衛ですが、まず二人はとても強い!
そして心からいい人とは言えない、そんな二人です。
民を苦しめる人物に対しては容赦ありません。
そして世の中をひっくり返したいと思っているのも共通点。
お互いは違う立場であっても認め合っているところが憧れの男性像って感じで二人ともかっこよかったです。
命を落とす可能性もある厳しい修行
兵衛は才蔵に対し、自分で生き方を考えられるようにと唐崎に住む老人のところへ棒術の修行に行かせます。
師匠の修行は本当に厳しい…!
鬼か?と思った修行があります。
強風が吹く場所に刀をぶら下げ、褌1枚の才蔵を中に立たせ、周りにはマキビシ。
逃げられない状況で、ほら風が吹くぞ棒で刀を避けないか、刺さったら死ぬぞ〜というもの。
師匠は見ていることしかできず暇だからとお酒を飲み始めます。
風が止むまで、才蔵は刀を避け続けるしかありません。
どういう気持ち飲むんだろう…?というのと同時に、才蔵のことを考えると不憫でなりません。
ただ厳しい修行を積むことで、才蔵は誰にも引けを取らない棒術の持ち主となります。
わかる主人公の才蔵、かわいい
才蔵は道賢や兵衛から何となく気に入られます。
おるさんは侍の生まれでもないですし、武術の達人ではありません。
そのため二人の言うまだまだ伸びそうな未来ある少年だとか、侍の心を持ったやつだとかはわかりません。
ただ読んで思ったのは才蔵は素直でかわいいね…!ということ。
大勢の強敵に囲まれたのはたまたまではなく、師匠に場所を売られたからだと知ったときには死ぬかもしれなかったと泣くことができますし、
美女な遊女 芳王子の前ではいっちょ前に(?)どきどきします。
周りから言われたことを実直に受け止め、自分のものにできる素直さもあります。
もともといい子なんだろうなあと思ったのが、兵衛に預けられてからの暮らしぶりです。
才蔵は兵衛の自宅に集まる民と一緒になって宴に参加することはなく、自然と配膳や片づけなどをします。
食事も宴の残り物だけいただきます。
兵衛になぜそんな風に過ごすのか聞かれたとき、単なる居候だからと答えます。
「昔、里の禅寺の和尚が言っておられた。徒食する者は、馬鹿になる。そのうちに性根まで九腐り果てる、と」
――中略――
「寝ていても食える者は、頭を使わん。体も使わん。気働きもせぬ。だから、馬鹿になる。挙句、頭も体も腐っていきまする」
室町無頼 赤松牢人
村で暮らしていた時とは打って変わって、食事をするのには困らない状況となりました。
しかしそれに驕ることなく、きちんと働くことができます。
また当然のことと思っていられるのえらいなあと思います。
殺伐とした世の中にこんな考えの少年がいるとなると、かわいがりたくなるのかもしれません。
魅力的な登場人物による歴史物
おるさんは歴史苦手です。
室町時代と言われて応仁の乱が出てこない程度には苦手です。
また、歴史物を途中で挫折した経験もあるおるさんです。
本作は文庫だと上下巻の長作となっていますが、それでも最後まで楽しんで読むことができました。
これは登場人物がみんな魅力的だったからかなあと思います。
素直でかわいい才蔵を始め、善い人物とは言い切れない道賢や兵衛、そんな二人とそれぞれの関係を持つ芳王子など、飽きさせないで読むことができたのかなと感じました。
修行や戦いのシーンなんかは一気に読んでしまいました!
ページ数も多いので、長い時間楽しめておすすめです。
室町無頼の次に読みたい!おすすめ書籍
おるさんは歴史物の引き出しが少ないので(すみません)、
主人公が頑張る姿が印象的な小説を紹介します。
リラの花咲くけものみち 藤岡陽子
引っ込み思案の獣医学生 聡里が進学したのは大好きな祖母と一緒に住む東京から遠く離れた北海道の大学。
周りの人たちに助けられながら夢に向かって頑張る作品。
困難にぶつかりながらも頑張る主人公を応援したくなる作品です。
読んでいるとなんだか人好きする、才蔵と似たところがあるように感じました。
著者:藤岡陽子
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それでは次の更新でお会いしましょう!最後までご閲覧いただきありがとうございました~!
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