わたしだけのアイリス 源孝志

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ドラマ作品を楽しむ

カメラ好き、カメラマンの仕事が気になる、芸術好き、色彩に興味がある、色覚異常について知りたい、女性が頑張る小説が読みたい!そんなあなたにおすすめの1冊。

仕事一筋・色彩のことなら右に出るものはいない、一流カメラマンが色覚異常を患う。
ひとりぼっちになった彼女は、捨てたはずの故郷、熊本県天草で過去と向き合うことになる。

著者:源孝志
Kindle Unlimited:対象
Audible 聞き放題:対象外
(2024年11月現在)

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わたしだけのアイリスの著者・あらすじ

著者 源孝志さん

1961年生まれ。
ホリプロに入社後、CMやTVの制作を経てフリーの演出家・脚本家になりました。
大停電の夜に」の著者としても知られています。

あらすじ

立花海咲は世界的ブランドのカメラマン。
特に色に厳しく、「色彩のディーバ」と呼ばれています。
色彩に関して自信を持っており、少々ワーカーホリック気味ではありますが日々厳しい世界で戦っています。

眼の疲れを感じていた海咲は、休暇中に受診した病院で進行性の錐体ジストロフィーという診断を受けました。
それは色覚異常の一種で、徐々に色覚を失っていくというもの。

「色彩のディーバ」と呼ばれた海咲は色を徐々に失うことに不安を覚え、また病気が原因で世界的ブランドのカメラマンという職も失います。

居場所を失ってしまった海咲は、熊本地震をきっかけに十六年前に捨てた故郷、熊本県の天草へ向かうことにします。

海咲は故郷を捨てることになった過去と向き合い、色を失うという事実を受け入れることはできるのでしょうか。

登場人物

立花海咲
熊本県天草出身。
世界的高級ブランドも担当する一流カメラマンだったが、後天性の色覚異常を患う。

松浦昌太郎
海咲の幼馴染。地元で漁師をしている。

辻村七瀬
海咲の五歳下の妹。看護教諭。結婚を予定。

立花勝男
海咲の父親。
十六年前に海難事故で亡くなる。

松浦茂雄
昌太郎の父親。元漁師。
海咲の父親の海難事故で左腕を失う。

辻村多一郎
母親の再婚相手。

巻上伸哉
ファッション誌「コンテンポラリー」の編集長。
海咲の擁護者。

アイリスってどんな意味?

アイリスは虹彩の英語名です。
いわゆる瞳のことで、カメラでいう「絞り」の機能のことをいうそう。

TRUE COLORS(トゥルー カラーズ)のドラマ情報・キャスト

放送日

2025年1月(日) 22:00~

キャスト

立花海咲  :倉科カナ
松浦晶太郎 :毎熊克哉
辻村多一郎 :渡辺謙
(敬称略)

書籍と名前が異なっているため本作とは違うところがフューチャーされるのでしょうか?
楽しみですね!

わたしだけのアイリスの感想

働く女性はかっこいい!カメラマン 海咲

主人公の美咲はザ・キャリアウーマンという女性です。読んでいてかっこいい!となりました。

家族とは絶縁状態・親しい友人もいない海咲は「出る杭は打たれて当然」「肉体で仕事を取っただけ」という悪口も、圧倒的な技術力で黙らせ、着実に今の地位を築き上げます。

そんな海咲が絶対的な自信を持っているのが色彩です。
わずかな色の違いも見逃さず、常に高いレベルの作品を生み出すことに本気で取り組んでいます。

完璧主義で敵が多いこともあり周りとうまくいかないことも少々ありますが、庇護者の巻上だけが唯一のパートナーとして海咲をサポートしてくれていました。

ただしそれは海咲が完璧な状態でいたときまで。
色覚異常と知れてからはあっという間に海咲から離れていきます。

目の疲れを感じ受診した病院で診断されたのは「錐体ジストロフィー」という色覚異常
診断はされたものの、まだ完全に発症していない状態でも容赦なく契約を打ち切られ、海咲は気がつけばひとりぼっちになってしまいました。

カメラマンが色彩を多用するのは本作を読んでよく理解しましたが、それにしても容赦ないな…というのが感想です。
仕事のためあちらこちらに飛び回っていた海咲が彼氏や友人がいないのもわかる気がします。
そんな時間ないですよね…?

唯一の理解者も仕事ができなくなるかもとわかった瞬間から、手のひらを返したように海咲の前からいなくなります。

仕事だけの関係って辛いなあ。

でも仕事していると他の世界と接点が持ちにくくなるのも事実。
これどうしたらいいんでしょう…?

色神とも呼ばれる、色覚異常

海咲は後天性の色覚異常と診断されます。

病名は進行性の錐体ジストロフィー。
症例の少ない病気だそう。

色覚異常は大体が遺伝によるもので、男性に多いとのこと。
医者に身内に男性の色覚異常がいなかったと問われますが、すでに亡くなっている父親は船乗りだったため色覚異常ではないはず。
海咲に親族の中での心当たりはありません。

色覚異常があまり身近ではなかったので、病気について興味深かったです。
特に男性に多い、また遺伝によるものが大きいということですね。

色覚異常というと、幼い頃に色の中の数字を答える検査をやったっきりです。
都会のクラスの男の子の中に二人、学校の女の子に一人いる確率だそう。
意外と身近なのかなと思いました。

そして色彩のディーバと呼ばれる人が色を失っていくのってとても怖いです。

色のイメージを完璧に表現して、今この瞬間を1枚の写真に収めるカメラマンという仕事。

何気なく見ている写真でも、色んなことを考え抜かれた最高の1枚が形になっているんでしょうね。
今までモデルさん綺麗だなくらいにしか思ってなかった写真も、次からは違う視点で見ることができそうです。

また、色覚異常は社会的弱者ではなく、色覚正常者と同じ責任を果たさなくてはいけないというのもこの作品で知ったことです。

信号機の色がわからなくても、色の違いさえわかれば車の運転はできるため、徐々に慣れて受け入れていくことが大切だそう。

色覚異常は社会的弱者という勝手な思い込みがあったので、知れてよかったです。

全てを失い、過去に捨てた故郷の熊本県天草へ

居場所を失った海咲は熊本地震と妹 七瀬の結婚式をきっかけに、故郷である熊本県天草に帰ることにします。

家族と絶縁状態になってから実に十六年ぶりの帰省。

故郷を離れたのは父親の海難事故が発端でした。
父親の漁船が大型貨物線と衝突し、父親はそのまま行方知れず。
海難審判の結果多額の賠償責任を負った母親は、賠償金を肩代わりすると手を差し伸べてくれた辻村と再婚しました。

当時十八歳だった海咲は、事故から三年しか経っていなかったのにと母親の裏切りを許せず、またお金で解決しようとする辻村を憎みそのまま故郷を去ります。

今さら母親や妹には会えないけれど、故郷の様子は気になる。
幼馴染の昌太郎やかつての友人、恩師との再会で徐々に家族との確執に向き合うようになっていきます。

天草で過ごす間にも徐々に進行していく色覚異常を少しずつ受け入れていく海咲。
全てを失った海咲が過去と向き合い、新しい自分を受け入れていく。そんな再生の物語です。

久方ぶりに帰った故郷が自身を受け入れてくれる、そんな関係を築けていたのが素敵だなと思いました。

仕事以外には何もない、色彩を失ったら終わりと思っていた海咲が、故郷ではかつての幼馴染や高校の恩師と再び会って弱みを打ち明ける。

一方的に出ていってしまったと思っていても、待っててくれるところがあるのって幸せですね。
おるさんにそんなとこあるかなあとちょっと寂しくなりつつ、今からでも作っていければいいのかなと思いました。

ほんとに白って200色あんねんな…!と思える様々な色の名前

読んでいる中で印象に残っているのは色ってたくさんの種類があるんだ!ということです。

それぞれの章の題名も色の名前が使われていますし、作中の緑の色の種類や虹の色を「色彩のディーバ」が見ると?というのも興味深かったです。

虹の色が何色っていうのも国によって違うときいたことがあるので、まとめたらすごいことになるんだろうな〜

聞いたことない色を検索しながら読んでいたのですが、確かに微妙に違う…?気がする…?という感じでした。

日本語の色名も味があって素敵だったなあ。

その度に心のなかのアンミカさんが白って200色あんねんって言ってたので、ほんとやったんやなあと思いました(笑)。

わたしだけのアイリスの次に読みたい!おすすめ書籍

仕事を頑張る女性が主人公の小説を紹介します。

私にふさわしいホテル 柚木麻子

私は日本の文学史上もっともついていない新人作家。
作品掲載のチャンスを聞いたからには何をしてでもつかみ取ってみせる!
見てなさい!

違った雰囲気にはなりますが、夢をかなえるためならどんな手も!と強い女性が主人公の作品です。

著者:柚木麻子
Kindle Unlimited:対象
Audible 聞き放題:対象外
(2024年11月現在)

おるさん
おるさん

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