悪い夏 染井為人

この記事は広告を含むことがあります。が、どれもおすすめなものばかりです!ぜひ楽しんでいってください!

悪い夏 染井為人 映画作品を楽しむ

同僚の不正を知ったばっかりに。

あの時出会ったばっかりに。

何も知らなかったばっかりに。


仕事にストレスを感じながらも普通の生活をしていた主人公の、忘れることのできない「悪い夏」の物語。

サスペンス好きにおすすめの1冊!
あらすじまで楽しめます。

著者:染井為人
Kindle Unlimited読み放題:対象
Audible:対象
(2024年11月現在)

読み放題作品です

読書をで楽しむ

 著者・あらすじ

著者 染井為人さん

1983年、千葉県生まれ。
本作で第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞しデビューされました。

染井為人さんは他に「正体」の著者として知られています。

Kindle Unlimited:対象
Audible:対象
(2024年11月現在)

あらすじ

佐々木守は市役所の生活福祉課・保護担当課で勤務しているケースワーカー。
生活保護受給者ケースの中にいる不正受給者とのやり取りに気の重さを感じています。

そんな中同期の宮田から、同僚の高野が生活保護受給の打ち切りをちらつかせ、ワーカーの愛美に金銭と肉体関係を要求していることを知らされます。


真相を確かめるために愛美の部屋を訪ね、娘の美空にクレヨンを与えたことから愛美と美空親子との交流が始まり、次第に愛美に惹かれていきます。

しかし愛美の背後には厄介な莉華、生活保護の不正受給者山田、ヤクザの金本と様々な思惑を持った人物たちが。


忘れることのできない悪い夏、始まります。

登場人物

佐々木守
二十六歳。
千葉県船岡市役所、生活福祉課・保護担当課勤務のケースワーカー。

林野愛美
二十二歳。
生活保護受給者。高野から生活保護打ち切りをちらつかされ脅されている。

林野美空
四歳。
絵を描くこと以外に反応がない。子供らしくない絵を描く。

高野洋司
ケースワーカー。
守の同僚。仕事をさぼりがち。愛美を強請る。

宮田有子
ケースワーカー。
守と同期。自ら生活福祉課への異動を志願したとうわさの変わり者。
高野が愛美を強請っていることを知り守を巻き込み真相を探ろうとする。

山田吉男
生活保護受給者。腰痛が原因で再就職できないことを主張。

金本龍也
ヤクザ。
問題を起こし船岡市へ。東京へ戻ることを熱望。

古川佳澄
シングルマザー。
夫を交通事故で亡くしてから息子の勇太を一人で育てる。

悪い夏 映画情報・キャスト

公開日

2025年3月20日(木)

キャスト

佐々木守:北村匠海
(敬称略)


2024年11月時点で、まだ北村匠海さんしか発表されていませんでした。

北村匠海さんの守わかる…!ぴったり…!!(褒めてます)
線の細そうな感じとか。結末の感じも雰囲気ありそうです。

悪い夏 感想

それぞれの思惑に翻弄される?ケースとケースワーカー

本作は市役所の生活保護を取りまとめる生活福祉課・保護担当課員と生活保護受給者、それぞれの立場の登場人物がいます。

ケースワーカーはケースのところを周り社会復帰を促し、ケースはのらりくらりとかわす。
そんな構図となっています。


崩れ始めるのは高野による愛美への強請りが発覚したところから。


金本は高野を強請り返す計画を思いつき。

同時期に正義感からか宮田が守を巻き込み、高野に認めさせるため真相を愛美に確かめようと。

そこで出会った守と愛美の関係に気がついた山田が金本に秘密で守を強請ろうと企む。


ざっくりした関係図はこんな感じです。
それぞれの思惑がありますね。

これはぜひ整理して読みたい。後々に繋がります。

本当に困っているシングルマザー、うまいこと生きている人。認知の歪み

本作で印象的だったのは生活保護についての考え方です。

生活保護をうまいこと言って受給している人の対比として、今日食べるものもなくて本当に困っているシングルマザーの古川が登場します。


古川は働きたいと思っているのに、仕事が見つかりません。

せっかく見つけた仕事も、なんとなくクセになっていた万引きが発覚しクビになり。

子供は万引きが周りに知れたことで不登校になる。

意を決して生活保護の相談に行ってもボロクソに言われ拒否されてしまいます。


かたや仕事を探す気はない、タバコにパチンコ、薬の売人のヤクザと手を組む生活保護受給者。

おるさん
おるさん

読んでてやるせなくなりました…

守は不正受給する生活保護者に関しては強い憤りを感じている様子。

一方、ヤクザ金本は不正受給は正しいと思うと主張します。

「今の日本の劣悪な就労環境で、自力で生計を立てろなんてのがまずおかしいと思わないか。底辺の人間が職に就いても得られる給与は生活保護より低いのが現実だろう。

―中略―

『一生懸命働いているのに生活保護世帯よりも安い賃金しか貰えない社会はおかしい』と考えるべきなんだ。」

悪い夏

感想としては認知が歪んでる、かなあと。

立場を変えるというか、視点をズラすと社会が悪いとなるのかと思いました。


卵か鶏かみたいな?


金本の考えを聞いても、じゃあ仕方ないねとはならないなあ…。

おかしい社会の中で、悪いことせずどうやって生きていくかじゃないでしょうか?ヒトなんで!

【少しだけ結末のネタバレ注意】ラストのカオス、あとがきまで読んで納得!

ここから先はラストの展開に触れているのでネタバレ注意です!

悪い夏のラスト、愛美の部屋に関係者が勢ぞろいします。

勢ぞろいです。

吉田や金本の不正受給者側の関係者だけではないです。

姿を消していたはずの高野、高野の不正の真相を探っていた宮田まで。


これがまたカオスな雰囲気になりまして…。
こんなに揃うことある?と。特に宮田のせいで雰囲気はめちゃくちゃ。

急にコメディ始まった?と少し不安に感じもしてしまいました。


若干の戸惑いを感じていたのですが、著者の染井為人さんによるあとがきまで読んで納得しました。

自分ごとによる悲劇と他人事だからこその喜劇と。

人生においてもこんな風に感じるんだろうなあ。


染井為人さんによると、これからも「悲劇」と「喜劇」を描かれるそう。

他の書籍も読んでみたくなりました!

【少しだけ考察】美空の人を見る目?

愛美の娘、美空は絵を描くことしか興味がありません。

愛美から暴力を受けても、食事の世話をしてくれる山田にも何か反応することはそうそうありません。


ただ、クレヨンを持ってきてくれた佐々木だけには心を開いているようでした。


もちろんクレヨンを持ってきてくれたからとも考えられます。

でもこの「悪い夏」のなかで、自ら悪いことをしていないのって佐々木だけなんですよね。(ハメられた結果は除く)。

これは美空に人を人を見る目があったからなのかなあと思ったりしました。

【少しだけ考察】守の心の限界?

悪い夏は守が夏風邪を引いた描写から始まります。

いつまで経っても治らないからと病院に行くと、「咽喉頭異常感症」かもと診断されます。

喉の違和感は「思い込み」で、ストレスが原因と考えられるとのことでした。


守は仕事のストレスは感じているものの、愛美と出会ってから私生活は順調なのにな?と不思議に思います。


これって本人がそれほど重要に思っていなかっただけで、ストーリーが始まった時点ですでに心の方は限界を迎えていたのかなと思いました。

小柄で華奢、物腰柔らかい性格と言われている守ですが、山田の元に訪れた際、カッとして山田に詰め寄るシーンがあります。

本来の物腰柔らかな守でいられないほど、心の限界を迎えていたと考えられるのかなと。

愛美や美空とのふれあいでも解消することはできず、最終的に爆発した結果が守にとっての悪い夏だったのかなと、思いました。

悪い夏の次に読みたい!おすすめ書籍

悪い夏は登場人物が大体悪い人物なので、いわゆる「クズばっかり」と言われる作品を紹介します。

六人の嘘つきな大学生 浅倉秋成

著者:浅倉秋成
Kindle Unlimited:対象
Audible:対象
(2024年11月現在)

大人気SNS運営会社の最終選考に残ったのは六人の大学生。

採用者を決めるディスカッション中に明らかになるのは六人が隠している嘘。

優秀な学生なんてとんでもない、どいつもこいつもクズばっかり?


伏線回収が気持ちいいミステリー小説です。
悪い夏とは違った悪い日のお話。

おるさん
おるさん

それでは次の更新でお会いしましょう!最後までご閲覧いただきありがとうございました~!
よければフォローお願いします!